
後期研修
1.研修目標
血液内科における専門医プログラムでは、土台となる内科医師としての力量を幅広く養うとともにスペシャリティーとして血液内科全般の診療が可能な専門医を育成することを目標とします。そのために、プログラムを通して、血液悪性腫瘍にとどまらず、良性疾患や血栓止血関連疾患の診断から初期治療、長期的な管理までを経験します。
経験できる疾患としては,白血病,悪性リンパ腫,多発性骨髄腫の悪性疾患のみならず,再生不良性貧血,免疫性血小板減少症,自己免疫性溶血性貧血などの血液免疫疾患に加え,後天性血友病,後天性血栓性血小板減少性紫斑病などの血液凝固異常を来す疾患の症例数も多く,前述のように血液内科全域に渡る疾患を経験することができます。当院は奈良県医療における最後の砦であり,また奈良県内で数少ない血液内科であることから,先端の血液内科診療から一般血液内科診療まで幅広く経験することが可能です。
2.1週間の業務例
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土日 | |
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午前 | 定期・初診外来(2年目以降) | 病棟当番 | 外来化学療法室等 | 出張 | 外来当番 | 月1~2回ペースで、上級医指導の下、当直業務 |
午後 | 定期外来 (2年目以降) カンファレンス① | 外来当番 カンファレンス② | 病棟患者総回診 血液像カンファレンス(不定期) | 出張 | 病棟当番 | 月1~2回ペースで、上級医指導の下、当直業務 |
スケジュール紹介・補足
基本的には週1回の出張日があり、週4日大学病院勤務となります。カンファレンスは週2回、主に新入院患者と相談症例を提示します。水曜日は不定期に、骨髄像・末梢血像について医師・検査技師合同で症例検討を行います。
外来化学療法室当番は他科と合同で当番をローテーションするので、業務から外れる場合もあります。
当直については、3年目最初の6か月間は上級医とともに当直となり、平日当直はなく、土日に月2回のペースで上級医指導の下、研修を兼ねた当直業務を行います。一部、ER当直に振替となります。以降は上級医オンコール体制の元、単独当直となります。 また,2年目以降には,定期外来および初診外来を担当する場合もあります。
3.GSコースの三年間
モデルケースとしては3年間の専門医プログラム中で、2年間は大学病院、1年間は関連病院で研修を行いますが、関連病院での研修は施設によって一般内科も含めた研修、血液内科に特化した研修を希望に応じて選択することができます。また、履修状況に応じて内科専門医取得に必要な症例の経験のため、他科をローテートすることも可能です。そして、内科専門医を取得後、多くの医師は卒後7~8年目に血液専門医を取得します。しかし、あくまでも以上は代表的な例であり、男女問わずそれぞれのライフプランに応じて柔軟なキャリアパスを描くことが可能ですので、ご相談ください。
その後のキャリアについては、①大学病院において造血幹細胞移植を初めとした専門的血液内科診療に従事、②関連病院や診療所において地域に根ざした血液内科診療に従事、③医学博士の学位取得を目標とした大学院進学や留学など、個人の希望に合わせて幅広い活躍の場があります。また、関連分野として、日本輸血・細胞治療学会輸血認定医、日本血栓止血学会認定医、日本造血・免疫療法学会認定医などの資格取得が可能です。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
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1年目 | 大学血液内科 土日ERにてプライマリケア当直研修 | 土日ERにてプライマリケア当直研修 | 大学他内科or大学血液内科 ||||||||||
2年目 | 連携施設にて一般血液内科および一般内科研修 | |||||||||||
3年目 | 大学血液内科 | 症例が不足する科を ローテート |
前期研修
初期臨床研修における当科のローテートは、奈良県立医科大学附属病院初期臨床研修プログラムの内科枠として扱われます。およそ1~3か月のローテート期間を通して、下記の内容を習得目標とします。
研修目標
① 医師として必要な患者診療の基礎(問診や身体診察、検査結果の解釈など)および手技(採血、末梢静脈路の確保、動脈採血など)を習得する。
② 患者診療を踏まえて、診療録の記載やアセスメント、治療プランの立案方法を習得する。
③ 受け持ち患者の診療を通して、血液悪性疾患に対する薬物療法など血液疾患を有する患者の治療法、マネージメントについて理解する。
④ 輸血に関する知識を深めるとともに適正使用について理解する。
⑤ 骨髄穿刺や中心静脈カテーテルの留置、髄液検査といった臨床手技の習得を目指す。
当科では、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、急性白血病といった血液悪性腫瘍に対する薬物療法を数多く行うとともに、血液内科に特有の治療である造血幹細胞移植を行っています。加えて、血液悪性腫瘍だけでなく、血栓・止血疾患についても幅広く診療しています。そのため、将来、血液内科専門医を考えている方はもちろんのこと、内科専攻医を志す方も、血液内科疾患、血栓・止血疾患に対する診療やがん薬物療法の基礎を、症例を通して学ぶことができます。また、研修期間中はミニレクチャーの実施や、希望者には各種症例レポートの作成指導も行います。
多くの診療科で必要となる末梢血/凝固検査の解釈や輸血の基本的知識、悪性腫瘍への薬物療法およびそのマネージメントなどについて、ぜひ学びに来てください。血液内科に興味のある方、内科を目指す方に限らず、幅広い研修医の先生のローテートをお待ちしています。