教授挨拶

奈良県立医科大学 血液内科学講座
教授 松本 雅則

令和7年度が始まりました。
血液内科学講座ができて3度目の春です。

令和6年度には、当科の病床数は27となり、年間総入院患者数は8000人を超えています。少しベッドの余裕ができて、当科が受けるべき緊急入院を断ることが、ほとんどなくなりました。新入局医師の増加は少しずつですので、医師一人当たりの売り上げは院内で断トツ1位だと思います。

また、大学院(血液病態制御医学)を新規に開設しました。今までは当科からの大学院生は、私が指導する輸血部の大学院(血液・血流機能再建医学)に進学してもらっていましたが、今年からは選択して進学できます。基礎と臨床のような役割分担にする予定です。血液・血流機能再建医学は従来からのTMA(血栓性微小血管症)の病態解析を継続しますが、血液病態制御医学は広く血液疾患すべてを対象にしたいと思います。我々が既に持っている様々な解析技術を使って、患者さんの実際に起こっている病態を研究していきたいと考えています。

令和7年度は、人工赤血球の第1相治験を血液内科病棟で行うというビッグプロジェクトを抱えています。この人工赤血球は私の管理する奈良医大のCell Processing Centerで、GMPグレードで作成されており、それを院内での治験で使用し、製剤として開発するという画期的なプロジェクトを開始しています。第1相治験は健康な方に投与するという病院では経験のないことにトライしており、大きな困難を伴っています。ただ、スタッフの皆さんの多大なる協力により成功への道筋が見え始めました。人工赤血球を臨床で使えるようにするという非常に夢のある研究ができていると喜んでおります。

以上のように今年度も臨床、教育、研究に頑張りますので、引き続きご支援いただけましたら幸いです。

令和7年4月
松本 雅則