教授挨拶

奈良県立医科大学 血液内科学講座
教授 松本 雅則

血液内科が独立して1年が経ちました。少しずつ仲間が増えて、血液内科の担当病床数もこの4月から少し増やしていただきました。新型コロナによる入院患者の人数制限も現状では解除されており、順調なスタートを切れたと感じております。今後は如何にこれを発展させていくかを考えないといけません。

本年度からは医師の働き方改革が本格的に実施され、効率よく働くことが重要です。血液内科では、チーム制を導入して入院患者はチーム別に担当しております。また、女性が働きやすい環境を目指していきたいと思っています。女性医師が2名となり、それぞれの希望を聞きながら、ますます女性医師が増えることを希望しています。

診療に関して血液内科が独立したことにより、診療の具体的な数字を明らかにすることができるようになりました。令和5年度の延べ入院患者数は326名で、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫という血液悪性疾患が中心です。外来患者数は延べ1万1千5百人、そのうち初診患者は612名で、多くの患者さんをご紹介いただいております。このように、奈良県の最終ディフェンスラインを担う病院として、スタッフ全員で努力しています。

現状で常勤医を派遣している関連病院は、奈良県総合医療センター、済生会中和病院、南奈良総合医療センターの3施設ですが、派遣を依頼されている施設が複数あります。血液内科の外来に医師を派遣している病院は、市立奈良病院、高の原中央病院、平尾病院です。奈良県の血液内科診療の向上のために、仲間をさらに増やしていく努力が必要だと思っています。

研究に関しては、令和5年度も全米血液学会や国際血栓止血学会などで口演発表するとともに、英文原著論文を10本以上発表できました。ただこれらは、我々が現在までやってきた研究の継続であり、血液内科独自の研究を開始したいと希望しています。また、血液内科の大学院を新たに設置する申請を行っており、研究に関しても新たな展開が始まることを期待しています。

患者さんに満足していただけて、スタッフが働きやすい、そのような血液内科を目指して、さらに努力して参ります。引き続きご支援いただけましたら幸いです。

令和6年5月
松本 雅則